その日は朝から、今にも降り出しそうな曇天。
涼しいとさえ感じられた。
最終富山発の飛行機が神通川上空に小さくなった頃、夜空にパッと閃光が走った。
大きく大きくまあるく光った後、ドーンと音を立て次から次へと夜空に宝石をちりばめたようだ。
8月1日、会社の屋上で花火見物!
なんて平和で幸せなのだろうとフッとそんなことを思う。
義父から聞いた戦火の日の富山大空襲は、遠い日となった。
忘れてはならない苦しい日の記憶と、平和への想い。
目の前の夜空が想いとはうらはらに幸せを感じさせ、穏やかに過ぎていった夜だった。