屋根に上っての瓦の点検。屋根雪が集中する「谷」の部分を中心に検査。袖瓦に緩みがあったので、ハンマーで増し打ちを実施しました。
屋根瓦の状態をデジカメで撮影し、お客様に画像を確認して頂きました。
※1 付け柱とは、構造上は必要の無い柱ですが、デザイン性の為に取り付ける柱のようです。石貼りやレンガ貼りの壁面とかに付けられた柱もありますね。今回のお家は、本物の木を使っています。
付け柱付近の外壁の塗装面には湿度変化や自然環境によるヒビ割れが発生していました。
そこで、設計士(一級建築士)の舘と一緒に、付け柱のコーキングの切れとが関連して将来的に起こり得る事例を調査・検討。
建物の付け柱が季節の湿度変化により伸縮し、弾力性のあるコーキングが自然環境(紫外線や風雨等)による経年変化等で硬化して切れてきている状態。
また、雨水が外壁の塗装面のヒビ(下地にあるジョイント部分のコーキングが経年変化等によって切れている)割れを伝って付け柱の裏側に浸入し、将来的に柱が腐食したり、柱と外壁の接合部分から漏水の可能性があるかもしれない状態。
お客様へデジカメ画像をお見せしながら説明しました。
補修方法は、既存のコーキングを外して、再度コーキング処理を施す事になります。後日、見積書を提示する事をお約束。
Q 後面に遠目で分かるヒビ割れが数箇所ある。どうしてなのか?
A 現状を確認。この外壁については、設計当時に「一面を一枚の壁に見せたい」というお客様や設計士の趣旨があったと思われます。この面は日差しが当りやすい箇所。
下地材である木部が湿度変化により伸縮することで塗装の下にあるサイディングも動きます。
そして紫外線等による経年変化(劣化)等でジョイント部分のパテが切れて(塗装も切れる)きたものと思われます。
ここで、他のジョイント部分について注視。遠目からは分かりにくいのですが、近くで見ると、今後、ヒビ割れが目立つようになる箇所があると指差し確認。
仮に今回、補修を施しても周囲との調色は自然環境による経年変化(紫外線等による変化や汚れ等)に合わせる事となりますが、職人でさえも色を合わせるのは困難と言われています。
逆に補修跡(新旧施工の差)が目立つ可能性もあるようですね。
補修には費用がかかりますので、お客様はしばらく様子を見るとのお返事でした。
補修方法は、既存のパテ(※2)を外して、カッターで隙間を開けて、新たにパテ処理と調色をしながらのタッチアップ塗装(※3)になります。図を描いて説明しました。
ただし、今回補修しても、このヒビ割れ現象は、部材の耐用年数や自然環境等によるところが大きいので、数年後にも発生することもあります。
お家のメンテナンスって、自然との闘いみたいな感じで難しいですね。
※2 パテとは、ヘラを使って、壁の穴やヒビ割れの箇所を埋めたり(詰めたり)、欠けている部分を平らにします。クロス屋さんや塗装屋さんが「パテ補修」をされますね。傷口に補修すると内部から表面まで硬さが同じになります。
今回の事例は、外壁材同士の継ぎ目を埋めて平らにする事となります。
コーキング(シーリング)とは、ヒビ割れや隙間を埋めて、防水性・気密性を目的とします。
材料にはアクリルやウレタン、シリコン系があり、種類によって施工箇所や用途が違うようです。コーキングでヒビ割れを埋める場合、内部は柔らかく、表面は硬くなりますが、経年変化等で表面が沈み、目地が見えることもあるそうです。
※3 タッチアップ塗装とは、かすれている部分等を刷毛(ハケ)等で塗装することです。
新築当時は防水処理を施してありますが、厳しい自然環境の下では、表面の塗膜も劣化するのが早く、格子の細い部材は更に劣化(腐食)の進行が早いようです。
DIYでするメンテナンスする場合の方法として・・・
まずは、濡れ拭き等で表面の汚れを落とし、次にカビ取り剤等を使って表面の見えない部分に至るまで汚れ等を取り除きます。そして、サンドペーパーでこすり、最後にキシラデコール(※4)で仕上げます。
※4 キシラデコールの特徴
防虫・防腐効果として、木部に浸透し、腐れ、カビ、虫食いを内側からガード。
耐候性として、雨や日光(紫外線)による劣化・退色に強く、長時間にわたり鮮やかさが保たれます。
表面に余分な塗膜を作らず、木肌の美しさが引き出せる、自然な仕上がりになります。
刷毛(ハケ)さばきが良く、ムラになりにくく、作業が簡単です。
色のバリエーションが豊富に取り揃っております。
また、一度に2回塗る等といった工夫をされる方もおられますね。定期的なメンテナンスの間隔では、日光や雨等のあたり具合によって、違うようです。日頃の気配りが大事だと思われます。