1年目点検時は育児休暇中でお家に居ることが多かったお客様。当時は横道を登下校する小学生の視線が気になっておられたご様子でした。そこで、道路側からの視線を遮る方法として塀は高額になるので、安価で抑えられるサッシのフィルム貼りを提案していました。
[LDK/西側]
1年後の2年目点検で改めてお聞きすると、育児休暇もあと数日で終わり、「家に居なければ気にならない」お返事を頂きました。生活スタイルの変化によって要不要が出てきますね。
「新築時の配慮がもう少しあれば防げた現象や補修等があるはず・・・」これは前回の5年目点検でのアフターメンテナンスのベテランがつぶやいた言葉です。
お家の自主点検はお客様ご家族の生活スタイル等によっても起こり得る現象は異なっていますが、現場に居合わせた担当者の勉強にもなっています。
お客様のお話によると、樹脂サッシの部屋(北側と西側)では結露があまり無く、アルミサッシの部屋(東側と南側)は多いとのこと。約10年前の新築時の建築予算の配分で当時の営業・設計担当者との打合せの結果、採用した予算案でした。
[ダイニング/北側/樹脂サッシ]
振り返ること10年前。10年前当時の樹脂サッシは非常に高かったようですが、お客様ご家族が選んだ選択の結果が毎年「良かったね」という良い結果として再確認されており、とても嬉しく感じておられました。
また、仮にそうじゃなかった場合であっても、お客様毎に違っている立地条件や生活環境を考慮した改善提案等ができるよう日々の点検現場を検証していきたいと考えています。
お客様は様々な結露対策を考えておられました。熱の伝導率が高いアルミ製サッシを選んだ当時を少し後悔されているご様子。単純に10年前と今を比較するのは難しいのですが、同じアルミ製であっても技術改革等によって断熱性能は向上しており、時代の流れやお家を建てるタイミング等があるのである意味仕方のないことかもしれません。また、部材の市場への普及度合い等によって価格が低減することで、アルミや樹脂、木製サッシの戸建への導入率も変化してきたこともあります。
[暖房設備/屋外燃焼型] [LDK/南側]
結露対策では結露防止シートや結露吸収シートの使用も選択肢のひとつですが、除湿や換気を上手にしながら結露化を軽減する方法も紹介。LDKの南側はサンルームを設けて空気層ができたせいか、結露はしなくなったとのことです。
Q サッシ枠に発生した結露水のせいで床材が一部変色した。
A サッシ仕様や生活スタイルは変えられないので、結露が発生しやすい時期は拭き掃除を忘れないようにして頂くようお願いしました。
[LDK]
Q 結露防止では既存のサッシの手前にサッシを増設する方法があると聞いたが・・・。
A 現状を確認。内側にサッシを1枚入れる(2重サッシ)の場合、既存のサッシがシングルだと問題ないのですが、ペアガラスを2重にすると割れる可能性があるそうです。何かと費用がかかるので、今回はお客様の問いに対してお答えする形となりました。
[LDK]
Q 結露防止のために「結露防止シート」を貼るのはどうか?以前にレースのカーテンを洗っている時にカビが発生しているのを発見した。
A プチプチ状のシートを貼ることで空気層ができて断熱効果がアップします。ガラス面に少し厚みが出てくるので、換気するのに窓を開け閉めすると剥がれそうです。触り心地もサッシのようにヒヤッとしないので、感触は良いと思われます。また、結露吸収シートの場合、貼るだけで結露水を吸収してくれるので「拭く手間」が省けますが、結露の発生原因は解消する必要があると思います。
LDKが床暖になっていると室内が乾燥する傾向があるので、適度な湿度を維持する為に室内干しを勧める知人もいらっしゃるそうです。仮に室内干しをする時は結露防止の意味で除湿機を併用して頂くようお願いしました。
2階の一室は洗濯物干し場として使っておられるのですが、冬の間は結露が多かったそうです。洗濯物が乾くことは室内の水蒸気が増加すること、増加した水蒸気は除湿機やエアコンによる除湿や窓を開けて換気することで結露をある程度防ぐこともできます。冬の間は室温が低くなるので、飽和水蒸気量は小さく結露化しやすくなる環境になっています。
[2階居室/北側]
これまでの生活を思い出して頂き、除湿機の常時運転やエアコンによる室内温度の上昇、24時間換気の再稼動等々、WIC(ウォークインクローゼット)内の服がカビてしまわないよう、費用対効果(損得話)となりました。
結露が多いのはアルミサッシのせい?10年前を思い出すと当時は高価ではあったが、樹脂サッシを選択肢に入れても良かったかも・・・とお客様。
サッシについては性能面では技術革新等、予算面では市場価格の低減化等のいろんな要因があるので、単純に10年前と今を比較するのは非常に難しいと思います。お家の立地条件(周辺環境)、生活スタイル等によっても起こり得る現象は異なってきます。
一般的に新築時と10年経過した現在では家族構成や生活スタイル、考え方等が変わっているので、メンテナンス等にはあまりお金をかけたくないという発想もでてきます。ですが、点検毎にお客様に立ち会って頂き、「修繕という必要最低限の費用」が少なからず発生することを体験して「メンテナンスの必要性」という発見を、弊社の定期点検を通じて理解・納得して頂ければ幸いです。
Q 数年ほど前から窓が真っ白になってしまい部屋が暗くなった。
これは複層ガラス(ペアガラス)内部の結露現象となります。
[建物正面/南側/外側]
この内部結露は窓ガラスを両面から拭いても曇り症状が取れない、次第に曇り部分が大きくなってくることによって実感できる現象となります。「変かも?」と思った時、弊社保証書の保証期間内に問い合わせて頂ければ無償交換の対象になったのですが、そうでない場合は数万円のご負担となってしまいます。5年目点検の現場では「アレ?」と思ったときの早めのお問合せをお願いしています。
[建物正面/南側/内側]
サッシが納品・施工されて10年までがメーカー保証の対象期間。注文住宅の場合は、住まわれて約9年までが保証期間になると思われます。必ずしも起こり得る現象ではありませんが、「起こり得る現象を知っている」ことが大切になります。
[2階居室/北側/内側]
2014年6月17日(月)お家の点検10年目(立山町H邸)
所要時間 13:34~15:11 晴れ
スタッフ 前根、渡辺
【H邸の紹介】
今から約10年前に弊社の協力業者の方からの「ご紹介」という形で成約になったお客様邸。10年目点検・訪問検査の日は奥様に立ち会って頂き、ありがとうございました。当日はご主人にはお会いできなかったのが残念でした。記録によると、5年前の5年目点検ではご主人が立ち会われたそうですね。
(ちなみに2年目点検ではご夫婦揃って立ち会って頂きました)
「お家のお掃除はご家族総出で・・・」と言うのがここ数年間の奥様の願い事のようです。
Q 結露でサッシ枠にカビが生えているのを拭き掃除したいのだが、障子扉は外れないのでは?
ご主人は「障子戸を取り外せないから掃除できない」の一点張りとのこと。そこで、奥様がポツリ。
「せめて外せることができれば・・・」
経年変化等によって扉を片方に寄せた状態では取り外すのはかなり難しくなっていましたが、真ん中寄りに移動させることで取り外しやすくなることを実演しました。奥様は大喜び♪
(非常に残念そうにしているご主人の表情が目に浮かびましたが・・・汗)