結露跡は特に見受けられませんでした。お客様宅の暖房機器は蓄暖です。
「蓄暖だと室内が過乾燥になる?」とお聞きしたところ、大きく頷いておられました。
蓄暖であっても、結露する仕組み(蓄暖が切れた後は室温が低下し、室内の水蒸気量が変わらなければ露点となって結露する)や寝室の結露が多い事例を紹介。
お家で起こり得る現象や事例、お掃除方法等がイラスト付きで分かりやすくなっている「住まいの管理手帳」をお渡し☆奥様は(・_・D フムフムとページをめくりながら頷いておられました。
お家は一生モノですが、お家を構成する部材は定期的に検査して劣化状況を確かめることも必要となります。住まいの管理手帳には「定期的なお家の点検」についても書かれています。
住まいの建材は塗装(塗膜)によって腐食や錆から保護され、美観を保っています。塗装には寿命(耐用年数)があり、もし傷みがひどくなるまで放置すると、塗装だけではなく建材にまで傷みが生じます。
そうなってくると、塗装だけでは済まなくなって、ダメージも大きくなり、修繕費が高額になってしまいます。
30年間の標準的な維持保全(点検、手入れ、更新、取替え等)計画※1という記事がありました。
屋根の場合、コロニアル葺きでは5年毎の点検が推奨されています。主な点検項目では「ずれ、はがれ、浮き、割れ、雨漏り、変形、仕上げ劣化、さび、釘浮き」等となっています。
※1 出典「長期優良住宅に係る認定基準 技術解説」、発行 一般社団法人住宅性能評価・表示協会
お家の定期点検。人間ドックや自動車の定期整備点検と同じようなものです。不具合が表面に現れる前に点検によって不具合を事前に察知し、大事に至る前に早めにお手入れすること。
これが住まいを快適に、長持ちさせるコツとなっているようですね。
下地の湿度変化による伸縮等でクロスの隙間が数箇所で発生していました。今回はコークボンドを充填して目立たないように補修しています。コーナー部分に隙間が発生しても、隙間風が入ってきたりすることはありませんが、見た目で気になるご様子。
[和室] [階段口]
階段口のコークボンド補修の様子です。周囲から足元の状態を見ると、かなり危険かも・・・(大汗)
脚立を階段の段違いに配置しているので、バランスが微妙・・・(汗)
コークボンド(水性)は一般的に2年が耐用年数となっています。充填した箇所が乾燥して年月が経過すると、プチプチ状になることもありますが、景観上であって、構造上は全く問題ありません。
[サンルーム]
また、定期点検の返信葉書には「サンルームのクロスの切れ」と書かれていました。この現象は下地ボードのジョイント部分の広がりです。湿度変化による伸縮で下地材が動いて内装クロスが追随できずに隙間となって現れています。
ヒビ割れ部分にコークボンドが充填できるようにカッターで改めて隙間を作っています。
はみ出たボンド剤をタオルで拭き取って、ローラーを強く押し当てています。
仕上がり(補修後の様子)をお客様に見て頂きました。近くでよ~く見ると補修跡が分かりますが、遠目では分かりにくくなった状態にお客様は満足そうです。
[寝室]
天井クロスには「浮き」や「ヒビ割れ」現象がありました。下地材の伸縮(湿度による)によりボード動くことで、ビニール製のクロスが追随して跡が出てきます。
目立たないように補修をかけても良いのですが、逆に補修跡が目立つことも考えられます。昼間の太陽光では分かりにくいのですが、照明を点けると天井も照らすので発見しやすくなります。
お客様との協議の結果、このままの状態で良い事となりました。
お客様宅の暖房器具は石油ファンヒーターとエアコンです。結露についてお聞きすると、寝室での結露がひどいとのことでした。
寝室の場合は、「就寝後、室内では次第にヒトの呼吸(水蒸気の発生)によって室内の水蒸気量が増加し、気温が一番低くなる朝方に露点になって、サッシ枠等に結露水が溜まる」という仕組みを紹介。
夜間はプライバシーのためにカーテンを閉めますが、これが室内の空気の対流を妨げ、カーテンと窓との間の気温が低くなりやすく、結露の原因にもなっているそうです。
また、「灯油が1ℓ燃焼すると水分が1ℓ発生する」ことを説明すると、大変驚いておられました。
「灯油を燃焼させながらエアコンで除湿すると室内が乾燥してバランスが取れるかも(笑)」とお客様。
お家の健康(低湿/乾燥)とご家族の健康(適度な湿度)とのバランスが難しいですね。
結露跡(特にゴム枠部分)にはカビが発生することもありますので、タオルで拭き掃除して頂くようお願いしました。