クロスの隙間について。木部が湿度変化によって動くことでクロスも追随し、お部屋の隅っこに隙間が発生する現象を紹介。
そこで、施工面では隙間が発生することをあらかじめ想定して、コークボンドというボンド剤を隙間に充填しています。ボンド剤にも耐用年数があり、室内の諸条件によって異なっていることを説明。
隙間が見えても景観上であり、隙間風が入ったり、構造上には全く問題ないことを改めてご理解頂きました。
お家で起こり得る現象や事例、お掃除方法等がイラスト付きで分かりやすくなっている「住まいの管理手帳」をお渡し☆奥様は(・_・D フムフムとページをめくりながら頷いておられました。
お家は一生モノですが、お家を構成する部材は定期的に検査して劣化状況を確かめることも必要となります。住まいの管理手帳には「定期的なお家の点検」についても書かれています。
住まいの建材は塗装(塗膜)によって腐食や錆から保護され、美観を保っています。塗装には寿命(耐用年数)があり、もし傷みがひどくなるまで放置すると、塗装だけではなく建材にまで傷みが生じます。
そうなってくると、塗装だけでは済まなくなって、ダメージも大きくなり、修繕費が高額になってしまいます。
30年間の標準的な維持保全(点検、手入れ、更新、取替え等)計画※1という記事がありました。
屋根の場合、コロニアル葺きでは5年毎の点検が推奨されています。主な点検項目では「ずれ、はがれ、浮き、割れ、雨漏り、変形、仕上げ劣化、さび、釘浮き」等となっています。
※1 出典「長期優良住宅に係る認定基準 技術解説」、発行 一般社団法人住宅性能評価・表示協会
お家の定期点検。人間ドックや自動車の定期整備点検と同じようなものです。不具合が表面に現れる前に点検によって不具合を事前に察知し、大事に至る前に早めにお手入れすること。
これが住まいを快適に、長持ちさせるコツとなっているようですね。
Q またハチの巣ができた(汗)外回りの草に除草剤を散布して草が枯れだした後に見つけた。
A お客様と現状を確認。
外壁材の底部と水切りの間にアシナガバチ(※1)を発見。丈の長い雑草が隠れ蓑になっている状態。
目視検査では巣が「外壁の内側の通気層」に進入しているものと思われます。
Q カーポートの屋根の下にもハチの巣がある・・・(汗)
A 近くには寄ってないのですが、遠目で確認。冬になるとハチがいなくなりますが、それまで待つとなると、かなり先の話です。車に乗り降りする際には刺される危険性もあります。DIYで対処が可能ですが、お客様からご依頼があれば、専門業者を紹介することをお約束。
これは1年目点検の様子。雨樋と鼻隠しの間にアシナガバチが巣を作っていました。
※1 アシナガバチは4月頃から巣作りを始め、冬には全て死に絶えます。空家になった巣は再利用されることはないそうです。ハチを刺激すると攻撃してくることがありますが、イタズラしない限り、あまり心配がなく、毛虫等を捕食する益虫ということです。
(処理の手順)
市販されているハチ用のスプレー式殺虫剤で十分に駆除が可能です。昼間は活発に活動している為、巣にいないこともありますが、暗くなると巣に戻ってきて、動きも鈍くなる為、処理は日没後が良いそうです。化粧の香りや懐中電灯の光に反応する為、注意が必要となります。
(参考/ご家庭でのアシナガバチの駆除のしかた/http://www.city.ichinomiya.aichi.jp/division/ nogyo/ seikatuniyakudatu/seikatuniyakudatu02.html)
下地の湿度変化による伸縮等でクロスの隙間が数箇所で発生していました。今回はコークボンドを充填して目立たないように補修しています。コーナー部分に隙間が発生しても、隙間風が入ってきたりすることはありませんが、見た目で気になるご様子。
[和室] [階段口]
階段口のコークボンド補修の様子です。周囲から足元の状態を見ると、かなり危険かも・・・(大汗)
脚立を階段の段違いに配置しているので、バランスが微妙・・・(汗)
コークボンド(水性)は一般的に2年が耐用年数となっています。充填した箇所が乾燥して年月が経過すると、プチプチ状になることもありますが、景観上であって、構造上は全く問題ありません。
[サンルーム]
また、定期点検の返信葉書には「サンルームのクロスの切れ」と書かれていました。この現象は下地ボードのジョイント部分の広がりです。湿度変化による伸縮で下地材が動いて内装クロスが追随できずに隙間となって現れています。
ヒビ割れ部分にコークボンドが充填できるようにカッターで改めて隙間を作っています。
はみ出たボンド剤をタオルで拭き取って、ローラーを強く押し当てています。
仕上がり(補修後の様子)をお客様に見て頂きました。近くでよ~く見ると補修跡が分かりますが、遠目では分かりにくくなった状態にお客様は満足そうです。
[寝室]
天井クロスには「浮き」や「ヒビ割れ」現象がありました。下地材の伸縮(湿度による)によりボード動くことで、ビニール製のクロスが追随して跡が出てきます。
目立たないように補修をかけても良いのですが、逆に補修跡が目立つことも考えられます。昼間の太陽光では分かりにくいのですが、照明を点けると天井も照らすので発見しやすくなります。
お客様との協議の結果、このままの状態で良い事となりました。
お客様宅の暖房器具は石油ファンヒーターとエアコンです。結露についてお聞きすると、寝室での結露がひどいとのことでした。
寝室の場合は、「就寝後、室内では次第にヒトの呼吸(水蒸気の発生)によって室内の水蒸気量が増加し、気温が一番低くなる朝方に露点になって、サッシ枠等に結露水が溜まる」という仕組みを紹介。
夜間はプライバシーのためにカーテンを閉めますが、これが室内の空気の対流を妨げ、カーテンと窓との間の気温が低くなりやすく、結露の原因にもなっているそうです。
また、「灯油が1ℓ燃焼すると水分が1ℓ発生する」ことを説明すると、大変驚いておられました。
「灯油を燃焼させながらエアコンで除湿すると室内が乾燥してバランスが取れるかも(笑)」とお客様。
お家の健康(低湿/乾燥)とご家族の健康(適度な湿度)とのバランスが難しいですね。
結露跡(特にゴム枠部分)にはカビが発生することもありますので、タオルで拭き掃除して頂くようお願いしました。
1年目点検の時に「虫の進入」について問合わせがありました。一般的にも照明器具のカバーに虫の死骸が溜まっている事例があります。
虫の進入には色々とあります。お家が密閉され過ぎると、お家に住まわれているご家族が窒息しちゃいますよね。換気計画(建築基準法で定められている換気システム)で室内を閉めっ放しにしても換気ができる仕組みはありますが、生活しているので窓を開けた換気が一番良いと思われます。
換気するために窓を開けた時、ヒトの衣服に付着、玄関の出入りの際、お風呂場の換気等々と窓を開ける機会が多く、知らず知らずのうちに虫が進入しています。
また、お家の周辺環境も虫の発生の原因にもなります。お庭の除草もありますが、田んぼや畑、用水がある場合は虫が多くなってしまうことを改めて説明し、納得して頂きました。
草刈りは一年を通してよく茂る時期がありますよね。その時に周囲の手入れを考えても時間的に難しいので、新築の際に防草シートの提案があれば良かったと思われます。
開ける時にドアノブの緩みを発見。ドライバーで根元のビスを増し締めしました。ここで、お客様には「ドアノブのグラグラ感があった時は早めにドライバーで対処(そのままの状態で使っていると、壊れる原因→ドアノブの取替え?)」して頂くようお願いしました。
[居室等]
リビングドアの開く軌道の延長線上にある壁クロス(ドアノブのある高さ)に凹み跡がありました。床のストッパーは正常に機能しており、思い切って開けた時に凹んだものと思われます。
また、開閉の際にラッチのかみ合わせに違和感があったので、ドライバーでラッチ受けの位置を微調整して現状を改善。ラッチ受け金物のビスを緩めると、固定されていたラッチ受けが少し動きます。
扉が少し下がっているようだったので、丁番を回して正常な位置へと改善。使用頻度等によって、少しずつ下がってきたものと思われます。